雹(ひょう)で車のボディーがへこみ、修理が必要な時に大切な事 | 板金塗装はインターパシフィック

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2017/8/10

雹(ひょう)で車のボディーがへこみ、修理が必要な時に大切な事

千村

2017年7月18日午後、豊島区、板橋区、北区など東京都内に大量の雹(ひょう)が降りました。被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。インターパシフィックにも翌日以降、雹の被害に遭ったお客様からお車の修理に関するお問い合せが多数あり、修理の依頼をお受けしました。

2014年6月24日に東京都三鷹市、調布市周辺で大量の雹(ひょう)が降り、その数日後に私がホームページに投稿した雹(ひょう)で車のボディーがへこみ、修理が必要な皆様へという記事をご覧になったお客様からのご依頼がほとんどでした。この記事では、車の修理(鈑金塗装)に従事するプロの一人として、雹によって車がへこんでしまいお困りのカーオーナーさんが、愛車の修理で失敗しないための方法について書かせていただきました。その要点は、以下の4点でした。

1. 雹(ひょう)による車のボディーのへこみは一目でわかるものばかりではなく、直径1cmほどの小さなえくぼのようなへこみもあるので、車を洗車等してきれいな状態にして、いろんな角度から注視する。そして一 つでも凹みを見つけたら鈑金塗装工場などに相談する。

2. 車両保険に加入しているかをまず確認する。自損事故が保障される一般車両保険でも自損事故が保障されないエコノミー車両保険でも保障される。雹(ひょう)による被害の場合では、自損事故や対物事故などで車両保険を使うのとは違って翌年度のノンフリート等級は1等級ダウンで済むので、いずれかの車両保険に加入していれば迷わず保険で修理する。

3. 雹害による車の修理は、ほとんどの場合大掛かりで高額な修理になる。またルーフパネル(屋根)を交換すると、事故歴車となり下取り査定に大きく影響するので、むやみに取換えてはいけない。凹みの修理も一つずつ丁寧に行われなくてはいけない。

4. 雹(ひょう)による車のへこみの修理は高い技術と丁寧な作業が要求されるので、修理方針をじっくり丁寧に説明し、車の再販価値まで考えて最良の修理方法を提案してくれる工場を探す。

しかし今改めて自分が投稿した記事を読み返すと当たり障りのない内容だなと感じ、今回は雹の被害に遭った車の修理の実情や最適な修理方法、さらには最適な修理業者の選び方について等もう少し突っ込んだ記事を作ってみましたのでお読みください。

雹(ひょう)被害に遭った車の修理方法

雹による車のボディのへこみは、小さいものでは直径1cmほどのえくぼのようなものから直径5cmほどの大きなへこみまで様々です。大きな雹が降れば、それ以上に大きなへこみだってできるかもしれません。ルーフパネル(屋根)ボンネット、トランクといった空に対して水平な面を中心にフェンダーやドアなど広範囲にへこみます。

ベンツのボンネット 赤枠内が雹による凹み。これは写真に映るほんの一部の比較的大きな凹みです。実際にはボンネットだけで数十個の凹みがありました。

大きな雹が当たると、車のフロントガラスも割れてしまいます。

修理方法は、鈑金塗装とデントリペアの2通りです。鈑金塗装は、凹みを鈑金で元通りにしてから修理したパネルを塗装して直します。デントリペアはパネルの裏側に専用ツールを差し込み凹みをパネルの裏側から押し出して修理します。塗装面ではなく裏側から押し出すので塗装しないで直します。

仕上がりの差としては、車を塗装するか否かの違いです。塗装しないで直せればその分車に優しい修理方法と言えますので、デントリペアは素晴らしい技術だと思います。鈑金塗装に比べ修理金額が安く、修理期間が短いのも特長です。

ただデントリペアでは対応できる凹みに限界がありますので、そのパネルに一つでも対応できない凹みがあれば、その凹みは鈑金で修理しなくてはなりませんので結局塗装しなくてはならなくなります。そのため塗装作業をしないデントリペア業者の中には、本当は鈑金塗装で対応しなくてはならない凹みでも無理して作業して、歪みを残してしまうこともあるようです。

はっきり言えば、鈑金塗装業者は大きさにかかわらず凹みを鈑金し、塗装して直そうとしますし、デントリペア業者はどうにかしてパネルの裏側から凹みを押し出し、塗装はせずに直そうとするのが実のところです。ですから不幸にして愛車が雹の被害に遭った時には鈑金塗装業者、デントリペア業者双方に車の状態を見てもらい意見を聴き比べてみると良いでしょう。

修理期間がある程度長引くことは覚悟する

雹(ひょう)による車へのダメージは大きく、損傷が広範囲に及ぶため修理が大掛かりになり、一度に沢山の車が被害に遭うわけですから修理業界はパニック状態になります。

鈑金塗装業者は一般に工場を構えているので、修理車両を自社の工場に引き取って作業するのですが、出張作業も可能なデントリペア業者は、他府県から多くの業者が仕事を求めて出稼ぎに上京してくるほどです。

大忙しになって沢山の修理車両を預かれば、誰しも急いで作業し早く修理を終わらせようとします。しかし、鈑金塗装であれデントリペアであれ「職人仕事」というのは、急ぐとろくなことがおきません。急いだ結果仕事は雑になりそれが仕上がりに現れます。

鈑金塗装であれば、凹みを一つ一つ丁寧に鈑金しないで安易にパテを厚盛りして仕上げ、後になってパテ痩せしてしまうかもしれません。時間をかければ綺麗に鈑金できるのに急いでいるからとルーフパネル(屋根)を取り換えられ、そのため事故歴車にされてしまうかもしれません。塗装の仕上がりが悪く修理したことが素人目にも分かるような酷い仕上がりにされてしまうかもしれません。

デントリペアであれば、(塗装はできないので)ちゃんと凹みが直せていなくて、よく見ると所々歪みが残ってしまうかもしれません。素人目には分からず下取りや買取で売る段になって業者から指摘され、雹害車ということで大幅な査定減額になるかもしれません。
こういうことは顕在化していない分も含めるとけっこうな確率でおきていると思います。

技術の低い業者では、急がせようが急がせまいが酷い仕上がりになってしまうわけですが、ちゃんとした業者であっても急がせて仕上がりが良くなることは少なくともありませんので、被害に遭われたカーオーナーさんはこの点を理解し、時間は急がせないからとにかく丁寧に作業して仕上がり重視でお願いします、という依頼の仕方がよろしいかと思います。

最適な車の修理方法

私は、最適な車の修理方法は、「無駄に作業範囲を拡大せず車にできるだけ優しい修理」だと考えています。その意味で言えば、デントリペアで済めばそれに越したことはありません。

ただ、デントリペアは非常に高い技術です。パテを使わず塗装もせず、車のボディーの広範囲にできた大量の大小の凹みを、一切の歪みを残さず直せる業者は居たとしてもごく僅かです。

デントリペア業者は塗装はできません。ですからパネルの裏側から専用工具を使って凹みを押し出す手段しか方法がありません。鈑金塗装業者は、歪みが残ってしまうような凹みの場合にはパテを使って平滑にし、塗装して仕上げることができます。

私が最適と思う雹の被害に遭った車の修理方法は、「鈑金しただけでは歪みを取り切れない凹みに薄くパテを使う以外はパテを使わずに凹みを修理し、何事も無かったかのように塗装して仕上げる」ということです。
端的に言えば鈑金塗装とデントリペアの良いとこどりの修理です。

画像はフォルクスワーゲントゥーランのルーフパネルの凹みの修理中の様子です。

パネルの裏側から専用工具で凹みを押し出しています。いわゆるデントリペアです。


手間のかかる作業ですが、パテを使わずに鈑金しました。


ルーフサイドは鉄板が硬く、袋状になっていて裏側に工具を入れられないので、表側から凹みを引き出す鈑金をし、わずかに残る歪みをパテを使って取り除きます。


そのように丁寧に鈑金をしてから、塗装ブースの中で熟練の塗装職人が慎重に塗装作業を行います。これが「鈑金塗装とデントリペアの良いとこどりの修理」です。

上手な修理業者の選び方

鈑金塗装業者である私としては本当はなかなか口にし難いことなのですが、この際率直に言わせていただきます。雹害のような自然災害では前述したように業界は大忙しで非常に混乱します。自動車ディーラーには雹の被害に遭った車の修理依頼が殺到します。

ディーラーの多くはこれらを自社で修理するわけではなく、鈑金塗装であれデントリペアであれ下請けの業者に外注します。依頼された業者は納期を急かされるでしょうし、カーオーナーさんと直接修理方法などを打ち合わせる機会もありません。また部品を支給された上、工賃を40~50%割引されるので割に合いません。そのため仕事を丸投げして大きな利益を得るディーラーと、工賃を半分カットされて割に合わないからなるべく時間をかけずに直そうとする業者の双方にとって都合のいいやり方で修理されてしまいます。

「カーメーカーの看板を背負ったディーラーだから任せて安心!」は大きな錯覚です。

自動車ディーラーの営業やサービスの担当者には鈑金塗装やデントリペアの技術も知識もありません。したがってどういう直し方をするのが最適な修理方法かの判断はできません。ディーラーはただ修理を受付け下請けに丸投げするだけです。車両保険を使った修理であれば、お客様が修理金額を気にする必要がないからということで不必要に大掛かりな修理(修理できるのにルーフパネルを取替えられ事故歴車のなってしまう等)をされてしまうかもしれません。

ご自分の愛車をキチンと正しく修理したいのであれば、ディーラーなどの中間業者を挟まず、ご自身で直接業者を探し納得がいくまで説明を求めてください。そして修理方針をじっくり丁寧に説明し、車の再販価値まで考えて「無駄に作業範囲を拡大せず車にできるだけ優しい修理」を提案してくれる工場を探してください。

インターパシフィックは、「無駄に作業範囲を拡大せず車にできるだけ優しい修理」をモットーに修理を依頼されたお車を一台一台誠心誠意お直し致しますし、遠方のお客様の場合には、近くに私が信頼できる同業者が居ればご紹介させていただきます。お困りの際にはお気軽にご相談ください。


大切なお車を何事も無かったかのように

大切なお車を
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代表 千村尚紀

インターパシフィックは長年にわたり高級輸入車の板金塗装を数多く手掛け、技術を磨いて参りました。
難易度の高い修理に対応する最新設備を導入し、厳選した塗料や材料を使用することで、高い修理品質を実現しております。

私達は、大切なお車が「ちゃんと元通りに直るのだろうか?」というお客様の不安を安心と喜びに変えることを最大の使命と考え、完成まで一切手を抜きません。
どこをどう直したのか全く分からないように、完璧な仕事を心掛けております。

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