車の塗装工程 | 板金塗装はインターパシフィック

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板金塗装の作業工程

板金塗装の作業工程

2015/5/4

車の塗装工程

■塗装の下処理作業

板金工程が終わると塗装工程に入ります。塗装職人はサフェーサーの塗装、研ぎと言った下地処理を行い、熟練した技でその車本来の塗装の肌艶を復元させます。
塗装作業は一切ごまかしの効かない、とても神経を使う作業です。車本来の肌艶を復元させる技術もさることながら、現車と同じ色を作る調色は経験だけでなくセンスが重要になってきます。
板金と外装部品の取り外しを終えた車は、板金職人から塗装職人に引き継がれます。

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板金職人がダブルアクションサンダーで#400研磨紙の目にパテ研ぎを仕上げた後、塗装職人がさらに細かい番手の#600研磨紙で足付け作業を行います。
パテを付けた面よりさらに広く#600研磨紙で研ぎ上げます。研ぎ作業で生じる深い研ぎ傷を各工程で完全に取り去ることが何より大切となります。

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サフェーサーを塗装する面をシリコンオフという溶剤で脱脂洗浄します。使い捨てのポリプロピレン素材のワイピングクロスに溶剤を付け入念に脱脂を行います。このワイピングクロスは拭き取り面にチリやケバが残らない素材です。

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パテを付けた面より広い範囲をマスキングします。

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液硬化タイプのサフェーサーを塗装して板金した部位を完全にシールします。

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サフェーサーの塗装が終わると赤外線ヒーターで加熱乾燥を行います。塗面の表面温度に気を配りながら、60分程しっかり熱を加えます。
加熱乾燥後は充分にクールダウンさせる時間をとり、塗膜を完全に硬化させます。

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サフェーサーがしっかり硬化したら、研ぎ作業を行います。目視では全く判らない、熟練した塗装職人の手のひらの感触でないと判らないレベルの僅かな歪みを確認し、取り除きながら平滑に仕上げていきます。
インターパシフィックでは、塗装前の足付けは最終的に#1500のペーパーで行うのですが、サフェーサーの塗面は先ず#400の研磨紙で研ぎ始めます。粗い番手の研磨紙でデコ(凸凹)を取り、平らに研ぎ上げます。

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#400で研ぎ終えると、#600、#800と研磨紙の番手を上げていきます。この工程は全て塗装職人の手作業で行われ、手の平に伝わるわずかな歪みを平滑に研いで取り除き、板金したパネルの面を元通りに復元させるのです。

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サフェーサーの研ぎ作業で生じる傷は目視ではほとんど判らないのですが、この傷が一つでも残っていると、塗装した後に傷が出現してしまうので、研磨紙の番手を上げる前に研ぎ面にドライガイドコートという黒い粉を塗り、ガイドコートごと研ぐのです。するともし傷が残っているとそこにガイドコートが入り込み、黒い線として残りますので、その線を研いで消すことで傷を残さず仕上げることができるのです。

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サフェーサーを塗装した面を#800の研磨紙で研ぎ終えると、塗装する面全ての研ぎ作業と足付け作業を行います。塗料の密着性を高めるための重要な工程です。

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最終的な足付け工程では、#1000の研磨紙で研ぎ始め、#1300、#1500と番手を上げて全面仕上げていきます。

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取り外したリアサイドウインドウガラスの取り付き面等もしっかり足付けを行います。

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クリア塗料をぼかす部位がある場合は、塗装後の磨き作業を考慮し、#2000、#3000とさらに目の細かい研磨紙で足付けし、最後に粗目のコンパウンドで磨いて足付けします。
これで塗装前の下地処理は完了します。

■塗料の調色

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塗料やシンナーなどの有機溶剤は、少量危険物貯蔵庫に保管しております。安全のために24時間換気されています。

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自動車塗装の調色には100種類近くの原色塗料を用意していなくてはならないので、塗料が固まってしまうのを防ぐため、攪拌機能を持ったミキシングマシーンというラックに収納し、定期的に塗料の撹拌をしています。

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塗装する車の色を再現するために塗料の調色を行います。先ず車のカラーコードからその色の配合を調べます。
塗料の配合は塗料メーカーのWEBサイトで調べることができます。
調色する色はメルセデスベンツのパラジウムシルバーで、カラーコードは792です。
配合データをプリントアウトして調色開始です。
配合データには1リットルの塗料を作るうえでの配合がグラム表示で記載されています。
パラジウムシルバーという色は、2種類(粗目、中目)のシルバーメタリックとメタリックの配列をコントロールするための添加剤、そして黒、白、青、赤錆色、黄土色の5色からできています。

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これらを配合通りに正しく計量します。

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配合した塗料を入念にかき混ぜます。ここで出来上がった色をそのまま現車に塗装しても、色はぴったりとは合いません。大なり小なり現車の色とは異なるので調整が必要です。
そしてこの調整が塗装職人にとって最も難易度が高い仕事で、経験とセンスが必要です。

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塗料メーカーの配合通りに作った塗料をテストパネルに塗装します。クリア塗料も塗装して現車に塗装するのと同じ工程で作成します。

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テストパネルを現車に当てがい、様々な角度から色の差異を確認します。
そして配合されているメタリックや原色の量を微調整して色を完成させていきます。
色が合うまで何度でもこの作業を繰り返します。

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色合わせは自然光の下で見た方が合わせやすい場合と室内で人工太陽灯を照射して見た方が合わせやすい場合があり、それらは色によって使い分けしています。

■塗装のマスキング

下地作業と塗料の調色が終わると、いよいよ塗装作業に移ります。
車を塗装ブースに入れてマスキング作業を行います。
マスキングは塗装する面以外の部位に塗料が付着しないための作業なのですが、マスキングの技術が塗装の仕上がりに大きく影響します。

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塗装のマスキングでは「ダブルテープ」と呼ばれる技法を多用します。
「ダブルテープ」というのは、テープを幅5分の1程の所で折り曲げ、糊面通しを合わせたテープのことをそう呼びます。テープを折って糊面通しを合わせると、例えば幅10mmのテープが8mm程に仕上がります。
8mmの内6mmは糊が付いていて、2mmには糊が付いていないテープが出来上がるわけです。

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画像のように、器用に8mm幅の長いテープを矢印の方向に延ばして、沢山作ってマスキングに使います。
テープをそのまま貼ってしまうと、塗装後にテープを剥がしたとき、くっきり塗料の段差ができてしまいます。ダブルテープはこの段差を解消するために使用します。
塗料が入るか入らないかギリギリの隙間を作るわけです。

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画像はリアフェンダーの前端にダブルテープを張っている様子です。

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ダブルテープでマスキングすると、こんな感じで仕上がります。

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画像を拡大すると、ダブルテープでできた隙間がお判りいただけるかと思います。
塗装後にダブルテープの隙間にできた薄い塗膜を軽くコンパウンドで磨けば段差のない綺麗な仕上がりになるのです。

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塗装するパネルの外周は基本的に全てダブルテープでマスキングします。

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マスキングが終わると、塗装する面の脱脂作業を行います。
ポリプロピレン素材の使い捨てのワイピングクロスにシリコンオフという溶剤を付け入念に脱脂を行います。このワイピングクロスは拭き取り面にチリやケバが残らない素材です。

■塗装作業

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車の塗装は、色の塗装(ベースコート)とクリア塗装(トップコート)の2工程に分かれます。
人気のあるホワイトパールは3コート塗装で、その場合、白のベースコートを最初に塗装し、次にパールを塗装し、最後にクリアを塗装する3工程で塗装します。
画像のメルセデスベンツのパラジウムシルバーの場合は、2コート塗装なので、調色済みのベースカラーを塗装し、その上にトップコートのクリア塗料を塗装します。

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塗装作業は全て塗装ブースの中で行います。塗装ブースの室内は、ゴミやホコリが付着しにくい環境になっています。
空気は給気装置によって外気を室内に取り入れるのですが、一次フィルターで外気中の埃を90%以上補集し、さらに天井一面に敷き詰められた二次フィルターを通すことで、5ミクロン以上の埃等を補集します。
クリーンな空気は天井から床に向けて上下に圧送され、排気ファンが空気を床下から吸い取り、排気ダクトを通じて屋外に排出されます。排気側にも一次、二次のフィルターがあり、塗料のオーバーミストを除去します。
塗装ブースの室内の容積はおよそ80㎥ありますが、この空間の空気がわずか15秒ほどで入れ替わる量の外気を取り入れています。

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こうした環境で塗装作業を行うことで、高いクオリティーの塗装が可能になります。

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塗装が終わると、塗料を硬化させるために加熱乾燥を行います。塗装ブースの室温を60~70℃に昇温し、1時間程熱を加えます。
塗装ブースの運転モードを「乾燥」モードにすると、バーナーが着火し、外気を加熱します。
乾燥モードになると導入する空気の量を大幅に絞って、温度上昇を助けます。

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塗膜が完全に硬化したら、磨き作業に入ります。
塗装職人がどれほど見事に塗装しても、磨き作業は不可欠です。
磨きの目的は艶を出すためではありません。
塗面の上に付着した小さなゴミの除去と塗装の肌調整のためです。
ゴミ付着ゼロが理想ですが、上述したような塗装ブースの中での作業でも極々小さなゴミは付着してしまいます。それも最後の塗り込みの時に数個付着してしまうのです。
その為、ゴミを粒子の細かい#2000、#3000程度の研磨紙で削って除去します。
塗装の肌はオリジナルの状態より、ほんの少しだけ粗く仕上げ、磨きによって調整します。
磨き作業はポリッシャーで行います。粒子の異なる数種類のコンパウンド、研磨力の異なる数種類のバフを組み合わせて、磨き上げます。

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こうして塗装工程が終わると、板金職人が取り外した部品を取り付け板金塗装作業は終わります。
最後にお車の室内を清掃し、ボディーを洗車し、最終仕上げを行い完成となります。

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ご覧のように酷くへこんでしまっていた車のボディーも

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まるで何事も無かったように元通りになります。

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大切なお車を何事も無かったかのように

大切なお車を
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代表 千村尚紀

インターパシフィックは長年にわたり高級輸入車の板金塗装を数多く手掛け、技術を磨いて参りました。
難易度の高い修理に対応する最新設備を導入し、厳選した塗料や材料を使用することで、高い修理品質を実現しております。

私達は、大切なお車が「ちゃんと元通りに直るのだろうか?」というお客様の不安を安心と喜びに変えることを最大の使命と考え、完成まで一切手を抜きません。
どこをどう直したのか全く分からないように、完璧な仕事を心掛けております。

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