車を塗装した後やコーティング施工時には、塗膜を研磨する作業を行います。車を塗装した後の磨き作業と、コーティング施工時に行う磨き作業は、目的は異なりますが工程はほとんど同じです。ですから塗装の職人は、コーティングのプロでもあるのです。自ら塗装した塗膜をその車のオリジナルな塗装状態に磨いて仕上げ、お客様の大切なお車を何事も無かったかのようにする磨きのテクニックは、コーティングの施工にも活かされています。
塗装後の磨き作業は、艶を出すためではなく塗り肌を綺麗に仕上げるための作業ですが、コーティング施工時に行う磨きは、艶を出すための磨き作業です。塗膜に付いた小傷や雨染み等によって車の塗装は時間と共に表面がくすみ、艶が悪くなります。そのためコーティングを施工する前には、磨き作業を行って小傷や雨染等を落とし、艶を出す必要があります。そして「磨き」によって塗装表面をツルツルに仕上げコーティング剤のノリを良くします。
それではコーティング施工時に行う磨き作業について、経年劣化によって塗装がくすんでしまった黒のレクサスIS250を例にご説明します。
画像は、洗車し、水垢や鉄粉などを除去した所謂丁寧に洗車された状態です。それでもボディーは小傷や雨ジミが多く、経年劣化等によって塗装がくすんで白ボケしています。
この状態の塗面を磨くと、どのくらい塗装の艶が蘇るかが一目で判るように、ボディーの一部分だけを磨いてみました。ボンネットの赤枠部分が磨いた部位です。
リアフェンダーの赤枠内が磨いた部位です。一皮剥けたような感じで、ぴかぴかになります。
車の塗装の研磨は、ポリッシャーとバフとコンパウンドを用いて作業します。
ポリシャーは研磨するための工具ですが、磨きの工程や磨く部位などによってさまざまな種類のポリッシャーを使い分けます。
回転トルクが高く研磨性能に優れたシングルポリッシャー、仕上げ磨きに使用する星形に振動偏芯回転をするギアアクションポリッシャー、遊園地のコーヒーカップのような動きをするダブルアクションポリッシャー等です。
また形状の複雑な部位を磨くための小さなサイズのポリッシャーも数種類使い分けます。
ポリッシャーに取り付けるバフは、ウール、スポンジ、ウレタンなどの素材でできており、素材によって研磨力が異なります。粗磨きの工程ではウールバフを使い、スポンジバフやウレタンバフで仕上げていきます。
コンパウンドは研磨粒子の粗さによって研磨力が異なります。ポリッシャー、バフ、コンパウンドという3つの要素を塗装の状態に応じて組み合わせて磨きます。
最初の粗磨きの工程は、シングルポリッシャーにウールバフを装着し、粗目のコンパウンドでしっかり磨きます。この段階で研磨可能な傷、くすみ、雨染みなどは全て磨き落とします。
研磨作業は、言うなれば「傷付けて傷を落とす」作業ですので、単一回転で強く磨くことによって研磨傷が付きます。オーロラ状にギラギラした模様が研磨傷です。
このギラギラした研磨傷は、ポリッシャーを振動偏心回転のギアアクションポリッシャーやダブルアクションポリッシャーを使い、粒子の細かいコンパウンドで磨くことによって除去でき綺麗に仕上がります。
太陽光や水銀灯などの光をあてると判るオーロラ状の研磨傷を除去する作業はとても繊細な作業です。研磨が「傷を付けて傷を落とす」作業である以上、いかにポリッシャーの回転を低トルクにし、バフを柔らかくし、コンパウンドの粒子を細かくしても研磨傷を完全に除去するのは至難の技です。
研磨傷はあてる光の種類によって見え方が変わります。そのため当社では、数種類の異なるライトを使い、傷を可視化した状態で磨き残しが無いように慎重に作業しております。
磨き作業は、数種類のポリッシャー、バフ、コンパウンドを組み合わせて行う繊細な作業です。そのためポリッシャーを当てにくい部位の磨き作業は大変手間がかかります。
極力手磨きはしたくないので、小さなサイズのポリッシャーや変わった動きをするポリッシャーを駆使します。
バンパーやスポイラーの細部などは、ミニサイズのポリッシャーと直径が10cmに満たないバフを使って作業します。
ドアハンドルのポケットはハンドルが邪魔して回転するポリッシャーは使えません。
そのため当社では左右にスイングする小さなポリッシャーを使っています。
ドアの開閉の際、爪で傷付くドアハンドルのポケットもしっかり磨けます。
磨き作業の最終段階では、振動偏芯回転をするギアアクションポリッシャーまたはダブルアクションポリッシャーにウレタンバフを装着し、超微粒子コンパウンドで仕上げます。
磨き作業を終え、コーティング施工が完成すると
作業前のくすんだボンネットが
新車のような艶々な状態になりました。
塗装のプロが手間をかけて丁寧に磨き作業を行うと
車の塗装はご覧の通りに生まれ変わるのです。
大切なお車を何事も無かったかのように
大切なお車を
何事も無かったかのように
インターパシフィックは長年にわたり高級輸入車の板金塗装を数多く手掛け、技術を磨いて参りました。
難易度の高い修理に対応する最新設備を導入し、厳選した塗料や材料を使用することで、高い修理品質を実現しております。
私達は、大切なお車が「ちゃんと元通りに直るのだろうか?」というお客様の不安を安心と喜びに変えることを最大の使命と考え、完成まで一切手を抜きません。
どこをどう直したのか全く分からないように、完璧な仕事を心掛けております。