ここでは実際に三次元フレーム計測装置 セレット ナジャ(CELETTE NAJA)やジグ・ベンチ式フレーム修正機などを使用し修理した、ポルシェ カイエン ターボの自動車修理 板金塗装事例をご紹介いたします。
修理金額が800万円を超える大掛かりな事故修理でした。
1.修理箇所確認・各部脱着
![obj_porcayenne01_org obj_porcayenne01_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne01_org1.jpg)
この車はフロント廻りに→の方向から衝撃を受け、ボンネットまで曲がってしまっています。
フロントメンバーは完全に左方向へ歪んでしまっていて、フレームまで損傷を受けていることは確かです。
![obj_porcayenne02_org obj_porcayenne02_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne02_org.jpg)
三次元でフレーム計測ができるセレット ナジャで損傷状態を確認する準備をおこないます。通常、フレーム計測する場合は脱着をしなくてもできますが、今回は修理をおこなう前提ですので、この段階でエンジンや補器類、サスペンションも降ろします。
2.詳細な損傷状況をセレット ナジャ(CELETTE NAJA)で確認
![obj_porcayenne03_org obj_porcayenne03_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne03_org.jpg)
どの部位まで損傷があるのかを明確にするため、セレット ナジャ(CELETTE NAJA)で三次元計測を行なう準備をします。
![obj_porcayenne04_org obj_porcayenne04_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne04_org.jpg)
セレット ナジャ(CELETTE NAJA)のレールを車両下にセットし、コンピュータが指示する部位を測定します。すると、基準値からどのくらいずれが生じているかが0.1mm単位で表示されます。
![obj_porcayenne05_org obj_porcayenne05_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne05_org.jpg)
測定データはこのようにプリントアウトすることもできます。このポルシェ カイエン ターボは全体的に左方向へ歪み、サスペンション取付部にも歪みが発生していることがわかりました。
3.板金:フレーム修正機にボディをセットし修復
![obj_porcayenne06_org obj_porcayenne06_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne06_org.jpg)
セレットのジグ・ベンチ式フレーム修正機にボディをセットします。
歪みのある部位にはジグは合いません。ジグに合っている部位は正常ということになります。
![obj_porcayenne07_org obj_porcayenne07_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne07_org.jpg)
ジグに合わない部分を引っ張ったり押したりして、正常な位置に合わせていきます。衝撃を吸収するため折れ曲がってしまい、板金では修復が不可能な部分は補強を入れて交換します。
![obj_porcayenne08_org obj_porcayenne08_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne08_org.jpg)
新品のパーツをジグに合わせてフィッティングし、溶接をしていきます。フレームに高張力鋼を使用しているため、溶接機も高性能なものを使用して作業します。
4.板金:各部の溶接
![obj_porcayenne09_org obj_porcayenne09_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne09_org.jpg)
ホイールハウジング内部は蓋がつくので隠れてしまいますが、このような部分にもきちんと防錆処理をおこない、塗装を施します。
![obj_porcayenne10_org obj_porcayenne10_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne10_org.jpg)
ホイールハウジングの蓋やその他前廻りの接合部分を確実に溶接していきます。
![obj_porcayenne11_org obj_porcayenne11_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne11_org.jpg)
スポット溶接跡を丁寧にきれいに仕上げ、溶接完了となります。ジグにも寸分の狂いも無く合っています。
5.錆止め・下地処理・防水処理
![obj_porcayenne12_org obj_porcayenne12_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne12_org.jpg)
溶接箇所を中心に2Kプライマー(錆止め)を塗布していきます。2Kプライマーは錆止めの意味とパテや塗料の密着をよくするために用います。
![obj_porcayenne13_org obj_porcayenne13_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne13_org.jpg)
まだホイールハウジング上部のパーツなどの取り付けがありますが、組み付けてからでは塗布できない部分があるので、一旦サフェーサーを塗布します。その後、下地を足付け(極細ペーパーをあてる)し、下色のグレーを塗布します。
![obj_porcayenne14_org obj_porcayenne14_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne14_org.jpg)
部品単体で下色の塗布まで終わったボルトオンのパネルを組み付け、防水・防錆処理のためシーラーをオリジナルと同様に入れます。この後ボディー色を塗布します。
![obj_porcayenne15_org obj_porcayenne15_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne15_org.jpg)
パネルのサフェーサーの乾燥を行ないます。赤外線のヒーターではパネルくらいの大きさになると均一に乾燥が出来ないため、当社ではプライマー乾燥でもブースを使用します。
6.修正後のボディ計測・仮組み付け・建てつけ調整
![obj_porcayenne16_org obj_porcayenne16_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne16_org.jpg)
修理されたボディをセレット ナジャで再度、三次元測定します。通常、ジグ・ベンチ式フレーム修正機で修復したものは寸法違いは起こりませんが、ベンチでは分らない微妙なジオメトリーを測定し、確認します。
![obj_porcayenne17_org obj_porcayenne17_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne17_org.jpg)
チェック結果は、全てのポイントにおいて0.1mmたりとも基準値からの狂いはありませんでした。
![obj_porcayenne18_org obj_porcayenne18_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne18_org.jpg)
車体のチェックが終わったので、エンジンや電装系、内装などの組み付けを行います。今回はパーツが全て本国オーダーだったので部品が入ってくるまでかなり時間がかかりました。
![obj_porcayenne19_org obj_porcayenne19_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne19_org.jpg)
リフトやベンチに設置した状態で、パネルの建て付けを行なっても、車両が地面に接地するとクリアランスが変わってしまいます。タイヤを取り付けてリフトから降ろした状態でパネルを取り付け、建てつけ調整を行ないます。
7.塗装:ベースコート~クリアコート塗布
![obj_porcayenne20_org obj_porcayenne20_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne20_org.jpg)
色合わせを入念におこない、ベースコートを塗布します。この作業の前に、塗料を確実に密着させるため、足付けを丁寧におこないます。
![obj_porcayenne21_org obj_porcayenne21_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne21_org.jpg)
ベースコート塗装の上にクリアコートを塗布し、ブース内で充分に加熱乾燥させます。
8.パーツ組み付け・納車整備
![obj_porcayenne22_org obj_porcayenne22_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne22_org.jpg)
残りのパーツの組み付けを行い、パーツやパネルのクリアランスなどを確認し、ボディーを磨き上げます。
![obj_porcayenne23_org obj_porcayenne23_org](https://www.inter-p.jp/wp/wp-content/uploads/2011/11/obj_porcayenne23_org.jpg)
お納車前に、再度各部の点検をおこない、四輪アライメント調整、テスト走行を実施し、洗車、室内クリーニング等をおこない、作業完了となります。