フェラーリ F355 フレーム修正 板金塗装 修理事例

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フェラーリ F355の板金塗装事例をご紹介します。
フロント右側に大きなダメージを受けており、オーナー様の加入する車両保険を使って修理させていただきました。

一見するとフロントバンパーを交換すれば直る程度の損傷にも見えますが、バンパーをはずしてみると、フレーム修正を要するダメージでした。

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フロントクロスメンバーは酷く変形して、右のフロントサイドメンバーも先端が潰れてしまっています。

右のメインワイヤーハーネスも切断されております。フェラーリ F355のワイヤーハーネスは約35万円とかなり高額です。

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バンパー、付属品、フロントサスペンションを取り外し、フェラーリ F355の車体をセレットベンチにセットします。

このフェラーリF355専用のセレット(CELETTE)ジグですが、高精度のフレーム修正にはどうしても専用ジグが欠かせないので、今から12年前に自分たちで実車のボディー計測をしてワンオフで製作した「世界に一つだけのフェラーリ F355専用ジグ」なのです。

このジグを使うとたった1mmのフレーム寸法の狂いさえ判ってしまいます。

フレームにダメージを受けたどんな大きな事故でもこのフェラーリ F355専用ジグがあれば、精密なフレーム修正ができます。

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フレームに何のダメージも無い車体であれば、すべての個所がボルトでスムーズに固定できます。

逆に少しでもダメージを受けているとボルトやピンが入らず固定できません。ジグがスムーズに固定できるか、できないかという単純な原理なのですが、目で見て確認できるからこそ正確で失敗の無いフレーム修正作業ができるのです。完璧な三次元修正ジグです。

 

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サスペンションのロアアームやアッパーアームの取付け部も完璧に固定できます。

今回はフロントサイドメンバーを強い力で引き出す目的でサスペンションの取付け部を固定しましたが、サスペンションへのダメージの波及が疑われる場合などは、ミリ単位の狂いは目視では確認できません。ロアアームやアッパーアームの取付け部で1mm狂いがあったら、アライメント調整は効かず、車の走行に支障をきたします。

でもこのジグを当ててみれば1mmの狂いも見逃しません。

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赤いブラケットの位置が正しい位置なのですが、ご覧のようにずいぶんと後ろに押されているのが判ります。

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まずは奥に押された分だけ引き戻し、正しい位置に修正します。

へこんだり、潰れた部分を交換するにしても、フレームを元の位置まで戻さなくてはなりません。必要に応じて引くポジションや角度を変えて繰り返し行います。

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次にフロントクロスメンバーと呼ばれる表側のパネルを取り外します。ボディーに溶接されているので、溶接個所を全て剥がしてしまいます。

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サイドメンバーの内側が完全に潰れてしまっています。

 

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サイドメンバーアウター(外側)も変形が酷いので、部分的に切開します。

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フロントクロスメンバーを取り外した状態でサイドメンバーやフロアパネルを正しい位置まで引き戻します。

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潰れたサイドメンバーインナーも引き戻しました。

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残部を丁寧に板金で修理します。

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あそこまで潰れてしまっていたサイドメンバーの先端(画像左側)は引き作業でボロボロになっています。

そのため部分的に新しいパーツに取り換えなくてはなりません。

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ただ、この損傷状態は作業を開始し、フレーム修正を行い、フロントクロスメンバーを剥がしとって初めて見えた部分ですので、ここで新たにサイドメンバーをフェラーリにオーダーしても在庫が無い可能性もありますし(たぶん無いでしょう)、部品の調達を待っていると時間ばかりが経過してしまいますので、今回は当社の板金職人が自分で鉄板から作ってしまいました。

こういう創作板金のような対処ができないとフェラーリのようなスーパーカーの板金屋は務まりません。

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手作りのフレーム先端部です。溶接も済みきれいに仕上がりました。

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因みにこれは反対の左サイドメンバーです。

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錆を防ぐ意味でも先にプライマーサフェーサーを塗装します。

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新品のフロントクロスメンバーです。次にこれをフェラーリの車体に溶接する工程に入ります。

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溶接の前に予めトランクルームの内側部分だけサフェーサーを塗装しておきます。

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フロントクロスメンバーをフェラーリ F355のボディーに溶接します。

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フロントメンバーは左右フロントフェンダーにも溶接します。

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この部品はフロントサイドメンバーのアウターパネルです。

赤枠で囲った部分をカットして、現車に移植します。

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カットした部品を溶接します。

むやみに交換範囲を拡げるのではなく、強度も考慮し最小限の範囲で作業するのが、板金塗装を綺麗に仕上げるコツです。

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最後はパテを使って仕上げます。

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これでフレームの修正作業が完了しました。

ジグもピタッとフィットし、フェラーリF355のボディーは寸分の狂いなく元通りに修復できました。

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ボディーの最終的な板金作業を行う前に新品のフロントバンパーの立付けを確認します。

 

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それにしましてもフェラーリのバンパーは新品とは言え、毎度のことですが品質が難有りです。そのままでは使い物にならず必ず加工や修理が必要になります。

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端が欠けてたり、

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割れて、穴まで開いていたり・・・
これを不良品だと言ってインポーターに返品したところで、次に来る部品も大差ないことが経験上わかっているので、修理して使います。

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バンパーの加工修正やフェンダー、フロントパネルの板金によって全体の隙間や立付けのバランスを整えます。

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サフェーサーを塗装します。溶接して鉄板が剥き出しになっている部分やパテを付けた部分を全てシールします。

トランクルーム内

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フロント廻り

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左右フロントフェンダー

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そしてフロントバンパーもサフェーサーを塗装します。

サフェーサーは加熱乾燥して塗膜を充分に硬化させます。なるべく長い時間をかけて溶剤分を完全に揮発させます。

 

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サフェーサーが硬化したら耐水ペーパーを使って平滑に研ぎあげ、各所にシーリングを施します。フェラーリ F355オリジナルなシーリングを忠実に再現させます。

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トランクルーム内もこのように。

トランクフロアの塗装はオリジナルな状態です。見た目は決して綺麗なものではなく、薄っすら赤く染まっていたり、黒の塗料が飛び散っています。

ここから、トランクルームを塗装します。

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塗りあがるとこんな出来栄えです。

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色の濃淡、染具合などオリジナルと見分けがつかぬように細心の注意を払います。

事故の痕跡を残さないように、わざと汚れたような感じに塗装します。

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ボディーの塗装です。ごみやほこりをシャットアウトした塗装ブースの中でフェラーリなどスーパーカーの塗装に精通した熟練職人が、フェラーリ F355のオリジナルな塗装の肌、質感を再現させます。

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艶消しの黒を塗装します。塗料はマットな黒なら何でもいいわけではなく、黒とは言っても濃さや艶の引け加減がフェラーリのオリジナルとぴったり同じに仕上がる材料を厳選しています。

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フロントクロスメンバーも穴の中に赤い塗装がかすかに覗くように、細部までオリジナルを忠実に再現します。

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フロントバンパーもセンターと底部に艶消しの黒を塗装します。

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バンパーグリルも塗装します。

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板金塗装作業完了です。フェラーリ F355は何事も無かったかのように元通りに修復しました。

チリ(パネルとパネルの隙間)も立付けもバッチリに仕上がっております。

このたびはインターパシフィックにフェラーリ F355の板金塗装をご用命くださり、誠にありがとうございました。

ランドローバー レンジローバー イヴォーク 板金塗装 修理事例

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レンジローバー イヴォークの板金塗装事例をご紹介します。
スーパーマーケットの駐車スペースにバックで入ろうとした際、車載のバックカメラしか見ていなかったため、誤って左後部を柱にぶつけてしまいました。
新車で購入したばかりということもあり、お客様が加入している車両保険を使ってきっちり修理させていただくことになりました。

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レンジローバー イヴォークの損傷状況は、リアバンパーをぶつけて前に押されたことによって、リアフェンダーがわずかにへこんでいます。

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アーチモールも外れてしまっています。

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リアバンパーは無塗装の黒い樹脂素材の部分にダメージを受けています。レンジローバー イヴォークのリアバンパーは白く塗装された部分と無塗装の黒い樹脂の部分が一体なのです。塗装された面であれば、程度によっては修理が可能なのですが、無塗装の部分となりますと修理はできないため、損傷の大小にかかわらず否応なく交換せざるを得ません。

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テールランプやリアバンパーを取り外し、リアフェンダーの角を板金します。

 

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塗装のマスキングの邪魔になるので、クォーターウインドウガラスも取り外します。
塗装後の組み付けの際にガラスは再度貼り付けます。

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リアフェンダーの板金した部分にサフェーサーを塗装します。

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赤外線ヒーターを使って、サフェーサーを十分に加熱乾燥して硬化させます。

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先述したようにレンジローバー イヴォークのリアバンパーは塗装される部分と無塗装部分が一体です。左側が新品パーツで、このような状態で供給されます。新品バンパーの値段は税込93,240円です。

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サフェーサーが硬化したら、耐水ペーパーを使って塗面を研ぎこみます。

溶剤で脱脂し、マスキングを施し塗装に備えます。

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リアバンパーも同様に水研ぎで仕上げ、脱脂します。

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ごみやほこりがシャットアウトされた塗装ブースの中で、熟練の塗装職人がレンジローバー イヴォークのオリジナルな塗装肌を忠実に再現させます。

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リアバンパーも塗装ブースの中で、無塗装の部分をマスキングして塗装します。

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レンジローバー イヴォークはまるで何事も無かったかのように元通りに直りました。

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保険会社との修理協定額は税込304,353円(部品105,903円、工賃198,450円)となりました。

新車で購入したばかりのお車をぶつけてがっかりだったと思いますが、誠心誠意丁寧に修理させていただきましたので、素敵なレンジローバー イヴォーク、大切にお乗りください。
このたびはインターパシフィックに板金塗装をご用命くださり誠にありがとうございました。

ポルシェ ボクスターS ドアパネル板金塗装 修理事例

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東京都世田谷区にお住いのお客様より、ポルシェ ボクスターSの板金塗装を依頼されましたので、事例をご紹介します。

狭い道で急な左カーブがあり、そのままでは曲がれないので、車を一旦右に振ってから曲がろうとしたところ、道路右側にあった電柱にポルシェボクスターSの右側面をぶつけてしまいました。

右のドアパネル、リアフェンダーの広範囲な凹みを主として、ドアミラー、サイドステップ、リアバンパー、さらには右リアのホイールにもダメージがあります。

一見して修理金額が高くなりそうなので、お客様が加入している車両保険を使って、妥協なく丁寧に修理してほしいとのご要望でお車をお預かりしました。

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ドアパネルは凹みが広範囲で、保険修理ということもあり、新品パネルに交換しました。リアフェンダーの凹みも広範囲でしたが、リアフェンダーはドアのようにボルトで固定されているのではなく、ボディーに溶接で取り付けられているので、むやみにパネルを交換することは好ましくありません。

付属品をすべて取り外し、時間をかけてじっくり丁寧にパネルを元通りの面に板金して復元させます。新品のドアパネルを車体に取り付け、立て付けを確認しながら作業を行います。

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板金での面出しが済むと、パテを薄く付け、充分に乾燥させてから平滑に研いで仕上げます。

その後板金した部位にプライマーサフェーサーを塗装し、加熱乾燥でしっかり硬化させます。

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ホイールハウスにも損傷が波及していたので、板金で修理します。

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チッピングコートを塗布して乾燥させます。

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ポルシェボクスターのホイールハウスと同じ色を調色し、塗装します。

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ロッカーパネルにもチッピングコートを塗布します。

ポルシェ ボクスター独自のチッピングコートの質感を出すため材料、吹付けるためのスプレーガンを厳選し、塗布面とスプレーガンとの距離、ガン運びなどを調整して今回ダメージを受けていない左側との差異が出ないように仕上がりに注意を払って作業します。

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ドアの裏吹きと呼んでいる工程です。ドアの内側は見た目は決して綺麗ではなく、中途半端に色が染まったような感じになっていますが、ポルシェの元々のドアの裏側がこのような仕上がりになっているので、同じ雰囲気を再現させます。
パワーウインドウやガラスが取りつき、トリムが取り付けられてしまえば、オーナーさんの目に留まる場所ではないのですが、忠実に元の状態を再現させるよう心掛けております。

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リアバンパーには変形は見受けられず、コーナーが傷ついていいただけですので、サンダーで傷を削り落としサフェーサーを塗装してシールします。

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今回の事故とは関係ありませんが、リアバンパーの左側にも傷が着いていましたので、これらも一緒に修理して差し上げました。

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アルミホイールは傷が軽微で、今回の事故以前に着いていた傷のほうがむしろ大きいということで、保険会社が簡易的な部分修理なら塗装費用を支払いますと修理条件をつけられてしましました。

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なので、リムの半分くらいを塗装しました。それでも元から付いていた傷もすっかりきれいに直りました。

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ボディーの塗装工程です。車体を塗装ブースに入れてごみやほこりをシャットアウトさせます。

輸入車の塗装に精通した熟練の塗装職人がポルシェ ボクスターオリジナルの塗装肌を忠実に再現させます。

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リアバンパーも古い傷も手直しし、新品バンパーのような塗装の出来栄えです。

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ドアミラーも分解して塗装します。

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ドアハンドルも塗装します。

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ポルシェ ボクスターSの板金塗装作業完了です。

何事も無かったかのように、どこをどう修理したかわからないように丁寧にお直し致しました。

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保険会社との修理協定金額は税込827,977円(部品248,503円、工賃579,474円)となりました。

時間がかかってもいいからとにかく丁寧に直して欲しいとおっしゃっていたオーナー様ですが、お引渡しの際、板金塗装が完成したポルシェ ボクスターSをしげしげとご覧になり、仕上がりに大変ご満足いただけました。

元通りきれいに直ったポルシェ ボクスターS,これからも大切になさってください。このたびはインターパシフィックに板金塗装をご依頼くださり誠にありがとうございました。

ボルボV70 リアドア板金塗装 修理事例

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ボルボV70の板金塗装事例をご紹介します。

自宅の駐車場からボルボを出庫させる際、ポリバケツを巻き込んでしまい、左のリアドアとリアフェンダーの下部を傷つけてしまいました。
お車を拝見したところ、リアドアの下のほうはへこんでいましたが、リアフェンダーは凹みがなく、黒く傷のようになっていましたが、塗膜が削れているわけでもないので、磨きだけできれいになりました。

リアドアだけの板金塗装でしたので、自費できれいに直してほしいとのご要望でボルボV70をお預かりしました。

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まずはドアの凹みを板金し、極力元の面の状態に戻します。

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パテを薄く付け、充分に硬化させてから、研ぎあげます。

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サフェーサーを塗装し、板金した部分をしっかりとシールします。

塗膜を赤外線ヒーターで加熱乾燥させ、しっかり硬化させます。

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サフェーサーが硬化したら、耐水ペーパーを用いて塗膜を平滑に研ぎあげます。

同時にパネル全体も研ぎこみ、塗装の密着がよくなるように仕上げます。

塗装する表面を入念に脱脂し、マスキング作業を行います。

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塗装ブースの中でごみやほこりが付かないように注意を払い、ボルボ独自の塗装肌を忠実に再現させます。
塗膜を加熱乾燥によってしっかり硬化させた後、磨き作業を行います。

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ボルボV70の板金塗装作業完了です。

何事も無かったかのように元通りに直りました。

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修理費用は税込94、710円となりました。

このたびはインターパシフィックにボルボV70の板金塗装をご依頼くださり、誠にありがとうございました。