■板金
自動車の板金塗装の工程は、板金作業と塗装作業の2つに分かれでおり、板金職人と塗装職人によりそれぞれの作業を行います。
中には板金と塗装の両方を一人でこなせる器用な人が居ますが、それでも得意なのはどちらか一方ですので、ほとんどの場合、板金と塗装はそれぞれの職人による分業となります。

板金は、車をぶつけたり擦ってしまったことによって生じた鋼板のヘコミを専門の工具を使って叩いたり引出したりする作業です。鋼板の裏側に手が届けば裏から叩き出して成形します。しかし裏側からアプローチできない場合には、凹んだパネルにピンやワッシャーを溶接し、そこに専用工具を取り付けて外側から凹みを引き出す方法で板金を行います。
ヘコミを裏側から押し出す、あるいは叩き出すというのは、板金作業として何となくイメージしやすいかと思いますが、表から凹みを引出して板金するというのはイメージしにくいかと思いますので、お客様から修理依頼されたメルセデスベンツを例に、パネルの表から引出してヘコミを直す板金作業の工程をご説明します。

ドアパネルの凹んだ部位の塗膜をエアーサンダーで削り落として、鉄板をむき出しにします。

ヘコミを引出すためには、スタッド溶接機を使用し、一時的にへこんだ部位にワッシャーを溶接します。

ヘコミの範囲に応じてワッシャーを溶接していきます。パネルの裏側が焼けないように電流を調節して溶接します。

プルプレートという工具を使ってワッシャーを連結させ、スライディングハンマーの先端のフックを引っ掛けます。

スライディングハンマーというのは、振り下ろして叩くハンマー(トンカチ)とは逆の作用をする工具です。
穴の開いた重りに棒が通っていて、重りを手前にスライドさせてストッパーにぶつけ、その衝撃を利用してヘコミを引出す工具です。

溶接した複数のワッシャーに棒を通して、一つに束ねたプルプレートにスライディングハンマーの先端のフックを引っ掛け、重りを前にスライドさせます。

重りを後ろにスライドさせ、手元のストッパーにぶつけると、その衝撃で凹みが引き出されます。

鉄板が出過ぎてもいけないので、力任せではなく少しずつ引き出し、慎重にこの作業を繰り返し行います。
ワッシャーはそれほど強力には溶接されていないので、ペンチで捻じると簡単に取れます。必要に応じて溶接する場所やワッシャーの数を変えて引き出します。

高くなった所は、板金ハンマーでコツコツと叩いて戻します。

小さなヘコミは、先端を直接パネルに溶稙できるプーラーをスタッド溶接機の先に付け、ピンポイントで引出し板金を行います。

最初に使ったスライディングハンマーの小型版ですが、同様に重りをスライドさせてその衝撃で凹みを引出します。

手のひらで板金した面の凹凸を確認しながら、極力元の面になるように板金します。

面出しが済むと、板金によって延びてしまった鉄板を加熱して絞る作業を行います。
鉄板は延び過ぎてしまうと、その部分がベコベコした状態になり、押すと凹んだまま元に戻らなくなるほどになってしまいますので、絞り作業で鉄板を縮める必要があります。

絞り作業によって、お灸の痕のように鉄板の表面が焼けています。ワッシャーを溶接した部位も痕が残っています。

これらの痕をロロックサンダーという小さなエアーサンダーで丁寧に削り落とします。

板金した鉄板の研磨作業を行います。ダブルアクションサンダーというエアー工具を使用します。

ダブルアクションサンダーに研磨紙を付けて、粗い順に#80、#120、#180、#240と番手を上げて、それぞれのペーパー目を消しながら徐々に板金した鋼板を研ぎ上げていきます。

粗い番手でいいかげんに仕上げると後々ペーパーの目が出現してしまいますし、一方あまり細かい番手で仕上げ過ぎるとパテの密着性が悪くなりますので、板金した鋼板の研磨は#240の研磨紙で最終仕上げを行います。
これで、引出しによる板金が完了です。見た目にはへこみはすっかり元通りになっています。
■板金のパテ付け作業

鉄板を板金して面出しが終わるとパテ付け工程に入ります。
板金で仕上がった鉄板の表面をシリコンオフという溶剤できれいに脱脂洗浄します。

エアーブローしながらきれいにシリコンオフを拭き取ります。

当社ではヨーロッパ製の板金パテを使用しています。硬化するととても硬くなるので、研ぐのに苦労するのですが、その分パテ痩せなどの経年劣化が起きにくいパテです。
サクサク楽に研げるパテは、作業性は良いのでしょうが、パテ痩せが起き易いので当社では絶対に使用しません。板金パテは主剤と硬化剤の2液硬化型です。

硬化剤は主剤に対し2%の量を混ぜるのですが、多くの板金職人はこの2%を目分量で混ぜてしまいます。インターパシフィックでは修理品質を一定にするため、たとえ2%でも目分量ではなく、きちんと計量して混合することを徹底させております。

計量が済むと、パテの主剤と硬化剤を入念に混ぜ合わせます。

鉄板に板金パテを付けます。

赤外線ヒーターで加熱してパテの硬化を促進させます。

パテ研ぎでは、最初はエアー工具を使って研ぎます。

見た目では判らない僅かな歪や凹凸は、板金職人の手の平の感覚を頼りに研いで取り除きます。

プレスラインや、パネルとパネルの隙間などの細部も丹念に仕上げます。


熟練した板金職人の手の平に伝わる感触だけで酷くへこんだパネルも元通りに修復するのです。

パテを研いだ粉で極力廻りが汚れないように、エアー工具や手研ぎファイルに吸塵ホースを取り付け、集塵機でパテ粉を吸い取りながら作業を行います。


板金パテを研ぐ研磨紙は粗い順に#120、#180、#240で、それぞれの工程で前段階のペーパー目を消しながら番手を上げて研ぎ上げていきます。

研ぎ作業で生じる傷は目視では判りにくいのですが、この傷が一つでも残っていると、塗装した後に傷が出現してしまうので、研磨紙の番手を上げる前に研ぎ面にドライガイドコートという黒い粉を塗り、ガイドコートごと研ぐのです。するともし傷が残っているとそこにガイドコートが入り込み、黒い線として残りますので、その線を研いで消すことで傷を残さず仕上げることができるのです。

板金パテの研ぎの最終仕上げは、#400の研磨紙を付けたダブルアクションサンダーで行います。
インターパシフィックでは、特にパテ痩せを避けるため、ポリパテなどの柔らかいパテは一切使用しておりません。当社で厳選した板金パテだけで最後まで仕上げます。
■付属品の脱着

塗装作業の際にマスキングの妨げになる車の外装部品を取り外します。外装部品の取り外しは、状況によって板金作業と前後する場合があります。
このメルセデスベンツの場合ではドアパネルとリアフェンダーパネルの板金塗装作業ですので、その2パネルを塗装するうえでマスキングがし易いように、そしてきれいに塗装を仕上げることができるように、外装部品を取り外します。




ドアパネルの塗装のためには、サイドミラー、ドアハンドル、水切りのモールを取り外します。


リアフェンダーの塗装のためには、サイドウインドウガラス及びモール、テールランプ、リアバンパーを取り外します。これらの部品がボディーに付いたままでは、部品がパネルに密着していたり、あるいはパネルとの隙間が狭すぎたりするため、この後工程で行う下処理の研ぎ作業が不十分になり、その結果塗装の密着不良が起きたり、仕上がりの美観に影響します。

外装部品を脱着すればその分工賃は発生するので、これらを脱着せずに修理費用を抑えるという方法を提案する業者さんもいるようですが、仕上がりが悪かったり、後になって塗装が剥がれてくることになりますので、当社ではお勧めしておりません。
板金作業はここまでで、この後は塗装職人による塗装の工程に入ります。そして塗装の工程が全て終わると再び板金職人が取り外した部品を車に組み付け、板金塗装修理は完了します。


















ボルボ V40クロスカントリーのボディーコーティング施工事例をご紹介します。お客様はボルボを新車で購入し、納車された日にそのままコーティング施工のためご来店してくださいました。
新車ではありますが、ポリッシャーを使って塗膜を磨きます。
磨き作業が済むと、コーティング剤の塗り込み作業を行いいます。
横浜市にお住いのお客様よりポルシェ パナメーラの鈑金塗装修理を依頼されましたのでご紹介いたします。
ドアパネルに付いているアウターハンドルや水切りモール等の付属部品を取り外し、リアドアには石跳ね傷防止のプロテクションフィルムが標準で貼られておりますので、このフィルムもこの時点で剥がしておきます。
鈑金部分にパテを付け成形し、充分乾燥させた後平滑に研ぎ上げます。
パテで成形した部分を覆い隠すようにプライマーサフェーサーを塗装し、こちらもパテ同様充分に加熱乾燥させてから平滑に研ぎ上げます。
車を塗装ブースに移動し塗装パネル以外にマスキングを施し、熟練の塗装職人がポルシェパナメーラのオリジナルの塗装肌や質感を再現すべく丁寧に塗装します。
塗装完了後、取外していた付属部品を取り付け作業完了です。
今回のポルシェパナメーラの修理費用は、部品代6.048円と工賃224.640円の合計230.688円(税込)になりました。
東京都目黒区にお住いのお客様よりアルファロメオブレラの板金塗装修理を依頼されましたのでご紹介します。
まず、大きく凹んだドアパネルの塗装をサンダーで削って剥がし、叩いたり引っ張ったりを繰り返し出来る限り元々の面に戻るまで鈑金します。
鈑金作業だけでは戻りきらない、ごく僅かな凹凸をパテを使い成形します。完全にパテが硬化してから研いで仕上げます。
ドアミラーは車体から取り外し、分解してから表面の傷をサンダーで平らに削ります。樹脂製のドアミラーカバーは割れなども無く、擦り傷だけでしたので、パテや接着剤は使用せず傷を平滑に削ることで対処できました。
ドアパネルとドアミラーのそれぞれパテを付けたり削った部分にプライマーサフェーサーを塗装し、しっかりシールします。赤外線ヒーターで塗面を加熱し、しっかりと乾燥させ、サフェーサーを完全に硬化させます。
理面を手作業で平滑に研ぎ上げ、塗装ブース内で熟練の塗装職人がアルファロメオブレラの塗装肌や質感を再現すべく丁寧に塗装します。
塗装作業の為に取り外していたフロントバンパーやヘッドライト、ドアの付属部品を車体に組み付け作業完了です。
今回のアルファロメオブレラの修理費用は、部品代18.932円と工賃212.976円の合計231.908円(税込)になりました。
東京都世田谷区にお住いのお客様からボルボXC60の板金塗装修理を依頼されましたのでご紹介いたします。
フロントドアは大きくへこんで変形し、リアドアの角にも傷が付いてしまいました。
まず新品のフロントドアパネルを車体に取付け、立付けの確認・調整をします。
リアドアの傷はサンダーで削るだけで済みました。
リアドアの削った部分にプライマーサフェーサーを塗装し、しっかりシールします。
新品のフロントドアパネルは未塗装の状態で供給されますので、まずはパネルの裏側の塗装をします。私たちはこの作業を裏吹きと呼んでいます。
裏吹きが終わると、フロントドアパネルを再び車体に取付け、リアドアと今回は色合せの為の塗装をするフロントフェンダーと共に手作業で平滑に研ぎ上げ、塗装ブース内でマスキングを行います。
ボルボXC60の塗装肌や質感を再現すべく熟練の塗装職人が丁寧に塗装します。
取り外していた部品を組み付け、ドアモールも新品に交換し修理完了です。
今回のボルボXC60の保険会社との協定修理費用は、部品代231.217円と工賃256.176円の合計487.393円(税込)になりました。
東京都杉並区にお住いのお客様からBMWM 135iの鈑金塗装修理を依頼されましたのでご紹介いたします。
バイクや自転車はハンドルやミラー、ブレーキレバーやペダル・ステップ等の突起物が多い為、事故が起きた場合、車の損傷が広範囲に及んでいることが多いのです。
このBMW M135iもフロントフェンダーが大きくへこんでいた以外にもフロントドアやドアミラー、写真では分かりませんがボンネットにも大きな凹みがありました。(赤丸)
ホイールの表面に多数傷があり、バイクがホイールにも直撃した事が分かります。
車両をリフトアップしてみると、ステアリングラックエンドのシャフトが大きく変形していました。
まず、ボディ外装部分から作業を始めてまいります。
フロントドアの凹みは鈑金しパテを使い成形しました。
フロントドアの鈑金部分にプライマーサフェーサーを塗装ししっかりとシールします。
新品のボンネットとフロントフェンダーの裏側を元々付いていたパネルに雰囲気を似せて塗装します。
外板パネル類を塗装ブース内に移動し、BMWの塗装肌・質感を再現させるべく熟練の塗装職人が各パネルを丁寧に塗装します。

塗装が終わると足廻り部品の交換作業に取り掛かります。

全ての外装部品を組み付け、4輪ホイールアライメント調整や走行テスト・各部作動点検をして修理完了です。
今回のBMW M135iの保険会社との協定修理費用は、部品代1.124.302円と工賃462.553円の合計1.586.855円になりました。













千葉県柏市にお住いのお客様よりメルセデスベンツML350の鈑金塗装修理を依頼されましたのでご紹介いたします。

リアドアとクォーターパネルはパネル交換はせず鈑金で修理いたします。
ホイールアーチ前部の段差も綺麗に元の位置まで引き出すことが出来ました。
引出作業が済むと鈑金箇所にパテを付け成形いたします。充分に乾燥させてから研ぎ上げます。
ロックピラー部の複雑な形状も綺麗に復元できました。
リアバンパーの傷はサンダーで削り落とす程度で済みました。
リアドアモールの傷はかなり深かった為、パテを使い成形する必要がありました。
傷を削ったりパテを付けた部分にはプライマーサフェーサーを塗装し、しっかりシールする必要があります。


まずドアを閉めると見えなくなるロックピラー部分を先に塗装いたします。
ボディ外板パネルを塗装いたします。輸入車の塗装に精通した熟練の塗装職人がメルセデスベンツの塗装の肌と質感を忠実に再現させます。塗装作業は全て、ごみやほこりをシャットアウトした塗装ブース内で行います。
樹脂製のリアバンパーやドアモールも塗装いたします。
取り外していた全ての部品を組み付け、作動チェック・各部点検を行い鈑金修理完了です。
今回の修理では交換部品はありませんでした。
横浜市都筑区にお住いのお客様よりレクサスLS600h F SPORTのリアバンパー修理塗装を依頼されましたのでご紹介いたします。
まず、傷ついた部分をサンダーで丁寧に削り落とします。
傷を削り落として表面を整えると、バンパーの素地が露出した部分にプライマーサフェーサーを塗装ししっかりとシールします。
丁寧に下地処理されたバンパーを塗装ブース内に入れ、ごみやほこりが付着しないように慎重に塗装いたします。
ロアスポイラーやリフレクターをバンパーに組み付け、立付けに注意しながらリアバンパーを車体に取付けバンパーの修理塗装作業完了です。
レクサスLS600h F SPORTの修理費用は税込み42.368円となりました。


















東京都練馬区にお住いのお客様よりBMW320iツーリングのリアバンパーの修理・塗装を依頼されましたのでご紹介いたします。
お客様は自費での修理をご希望されましたが、バンパーは変形が大きく、塗装が割れて樹脂素材が皺になっていました。このダメージでは素材自体が割れてしまっている可能性もあるため、バンパーを外して裏側がどうなっているかを見ない事には修理可能かバンパー交換が必要になるかは判断できないという旨をお客様にお伝えし、お車をお預かりしバンパーを取り外して裏側の損傷状況を確認してから正式にお見積りすることになりました。
リアバンパーの損傷部分を赤外線ヒーターで温めて柔らかくした上で、裏と表の両面から変形を修正します。
バンパーの変形を修正した後、表面の凹凸をサンダーで削り表面を平らに整えます。
パテを使わないように修理する上で、バンパーの表面を少し多めに削ったので素材の厚みが薄くなってしまいました。その為バンパーの裏側に硝子繊維クロスを樹脂用の接着剤で貼り補強しました。
修理した部分をシールする為にプライマーサフェーサーを塗装します。充分に加熱乾燥させてから平滑に研いで仕上げます。
塗装ブースの中でバンパーの半分くらいを部分塗装の方法で塗装いたしました。部分塗装にする事で、多少なりとも費用を抑える事が可能になります。
塗り分けた箇所(ボカシ目)も綺麗に磨き上げ、車体に組み付けて修理完了となります。
あれだけ大きく変形していたBMWのリアバンパーが何事も無かったように綺麗に直りました。
BMW320iツーリングの修理費用は税込み90.000円となりました。
横浜市戸塚区にお住いのお客様よりアウディA4アバントの板金塗装修理を依頼されましたのでご紹介いたします。
よく見るとパネル後方にも損傷がありました。
作業内容としましては、ロッカーパネルモールの取替塗装とロッカーパネルの鈑金塗装になります。
同様の作業を少しずつ根気よく繰り返し、できる限り元通りのロッカーパネルの状態に復元させます。
最終的にフェンダーやドアとの隙間を修正するにはパネル上面をハンマーで叩いたり削る必要がある為、フェンダーとドアは一旦車体から取り外しておきます。
修正部位も含めロッカーパネル全体にプライマーサフェーサーを塗装しシールします。
アウディA4アバントのロッカーパネルにはチッピングコートが塗装されています。
チッピングコートの上からボディ色を塗装します。
ロッカーパネルモールは新品部品に取替えます。この部品はクリップと両面テープで取り付けられているので再使用が出来ません。
メーカーからは色無しの状態で供給されるのでボディ同様に塗装いたします。
取り外していたフェンダーとドア、塗装したロッカーパネルモールを取り付けて完成です。
今回の修理費用は税込み225.472円(部品代42.736円、工賃182.736円)となりました。
東京都内にお住いのお客様よりBMW 320iクーペの自費での板金塗装 修理を依頼されましたので事例をご紹介します。
BMWディーラーからの見積書は2通りでした。一つはドアのヒンジとAピラー(画像赤枠内)を板金で修理した場合で約85万円、もう一つはそれらを取替えた場合で約110万円でした。フロントフェンダーも修理塗装が必要で、塗装は色の差異を無くすために行うリアクォーターパネルへのぼかし塗装も作業に含んだ見積でした。
当社の見立てでは、画像を見ただけで現車は見ていないものの骨格部位のAピラーを取替えるほどのダメージとは思えませんでしたし、何より板金できるからAピラーを板金で修理した場合の見積が出ているのでしょうから、BMWディーラーが作成したヒンジとAピラーを板金した場合で同じ作業内容で見積もってみました。
お客様から修理のご依頼を頂き、お客様に代わって車をBMWディーラーから引き取り当社工場で現車を拝見したところ、ヒンジとAピラーに目視でわかる変形はありませんでした。
【修理内容】
入念に調色を行い、塗装ブースの中でドアパネルを単体で塗装しました。車に取り付けて塗装するより、単体塗装のほうがゴミやホコリの付着するリスクが少なくきれいに塗ることができます。
塗装したドアパネルをしっかりと加熱乾燥させ、磨き作業を行います。そして部品を組み付ければ修理完了です。フロントフェンダーもエッジ部だけの塗装できれいに仕上がりました。
色も隣接パネルと比べて全く違和感なく仕上がりました。
BMW320iクーペの修理費用は、税込349,726円(部品代223,863円、工賃125,863円)となりました。
東京都港区にお住いのお客様よりご依頼された、トヨタ アクアの左リアドアとリアクォーターパネル(リアフェンダー)下部の板金塗装 修理事例をご紹介します。
まずへこんだ部分の塗膜をサンダーで削り落とし、スタッド溶接機を使って引出し板金作業を行います。
板金で可能な限りヘコミを元に戻した後、パテを付けて充分に乾燥させます。
リアフェンダーの損傷は外板だけでなく、わずかではありますが内側(ロックピラー)にも波及していたので、その部分もパテで平滑に仕上げます。
板金修理した部位にプライマーサフェーサーを塗装します。板金した部分をシールするためです。
塗装工程では先に内側のパネルから作業します。いくら内側のパネルとは言え、塗装の痕跡が残らないように、できるだけ狭い面積で仕上げるのがコツです。
トヨタアクアはパネル上部にプレスラインが通っています。今回のケースではそのラインで塗装を切ることにしました。
塗装作業を終え、塗膜を充分に加熱乾燥させ、硬化させてから塗装の磨き作業を行います。そして、部品の組み付け、洗車、室内清掃が終わると板金塗装 修理完了です。
トヨタ アクアはご覧のように何事も無かったようにきれいに仕上がりました。
一見すると何でもないようなトヨタのアルファードですが、修理した箇所を確認していくと、とんでもない不具合がいくつも見つかりました。
骨格部位はまともに修理されておらず、ダメージを受けたままの状態です。
手を多少入れたとしても、ハンマーで叩いた痕も修理せず、そのまま塗装しています。
パネルの裏側だからといってもあまりに酷い溶接の処理です。これではすぐに錆てしまいます。溶接のワイヤーも飛び出たままで雑としか言いようがありません。
3列目のシートを動かしたらレールからジャリジャリ音がしたので、フロアカーペットをめくってみると、割れたガラスの破片が沢山残ったままでした。
さらに驚いたのは、損傷の見落としです。アルファードのようなミニバンタイプの車の場合パネルが大きいので、リアを激しく追突されるといろいろな部位に歪みなどが生じます。
ルーフパネルもサンルーフ周りに歪みができていました。
当社では、まず車のダメージを三次元ボディー計測機(セレット ナジャ)を用いて診断しました。事故によるボディーのダメージを0.1mm単位で三次元測定できる機器です。
アルファード専用のジグに車体を固定し、フレームを修正します。
修正誤差が僅か1mm以下の高精度なフレーム修正作業が可能なセレットベンチというフランス製の修正機を使い、ダメージを受けたフレームを元通りの位置に修正します。

右のリアフェンダーとバックパネルを取り外します。
残部をきれいに仕上げ、防錆処理をしてから新品のパネルを溶接します。
溶接個所やわずかなひずみなどを丁寧に仕上げます。
ダメージを見落とされていた左のリアフェンダーやルーフパネルも鈑金して丁寧に仕上げました。
プライマーサフェーサーを塗装し、十分加熱乾燥を行います。

内側のパネルも防錆処理を行い、元々の色と風合いに仕上げます。
外板パネルは、ゴミや埃をシャットアウトした塗装ブースの中で、熟練の塗装職人が慎重かつ丁寧に塗装します。

修理金額はと言いますと、工賃と部品を合わせ税込み1,599,069円になりました。
川崎市中原区にお住いのお客様より、BMW335iの板金塗装修理を依頼されましたのでご紹介いたします。
一番損傷が酷い部位はクォーターパネルですが、このパネルは車体に溶接されている為、ボルト付けされているパネルとは異なり容易にパネル交換と言う訳にはいきませんので、板金修理で対応することにしました。ヘコミが小さいドアパネルも板金で修理します。
へこんで変形した鉄板を丁寧に引出し、ホイールアーチ部のプレスラインもオリジナルの状態に復元させます。
板金で限界まで復元させた鉄板にパテを付け、充分に乾燥させてから研ぎ上げてわずかな歪みを取り除きます。
BMW335iはドアを開けた部分のロックピラーにも損傷が及んでおり、少し複雑な形状の部分ですがこちらも同様に修正します。
フロントフェンダーは一見大した損傷がないように見えますが、実はこのBMW335iのフロントフェンダーは樹脂製パネルなのですが、全体的に歪んでおり、さらに取付部分に割れも生じていた為、保険会社に報告の上パネル交換させていただきました。
前後バンパーはそれぞれ角に小さな傷が付いた程度なので修理塗装で対応いたします。
フロントバンパーには今回の事故による傷以外にも飛び石による傷が多数見られた為、全体的にサンダーで傷を削り落として修理しました。
ボディ側パネルと前後バンパーの修理部にプライマーサフェーサーを塗装し、十分に加熱乾燥させてシールします。今回は修理範囲が広範囲なので、車体とバンパーを塗装ブースに入れてサフェーサーの塗装と乾燥を同時に行いました。


サフェーサーを研いで表面を滑らかに仕上げ終えると、本格的な塗装工程に移ります。まず、ドアを閉めると外からは見えなくなるロックピラー部を塗装します。
次に、ボディやバンパー等の外板パネルの塗装を行います。塗装ブースの中でゴミやほこりが付かないように細心の注意を払い、熟練の塗装職人がBMW本来の塗装の肌を忠実に再現させます。
通常ですとフロントフェンダーは先に裏側を塗装し、外側はボディに取付けてから他のパネルと同時に塗装するケースが多いのですが、今回の場合ボディ色が白の為単体で塗っても色の差異が出にくい事と、フェンダーを単体で塗装する事によってボディーのマスキングがし易い等の理由から別々に塗装する方法を選択いたしました。
前後バンパーもそれぞれ1本全面の塗装をいたします。
取外していた全ての部品を組み付けし、最後にフロントフェンダーの取付ボルト部分を塗装します。
左フロントのタイヤとホイールにも今回の事故による傷がありましたので新品に交換しました。
数年前にボディガラスコーティングを施工してあるとの事で、お客様はその時の施工書も保管されていたのですが、保証期間が過ぎており保険での修理部分の再施工費用は残念ながら認められませんでした。
保険会社との修理協定額は部品代252,699円、工賃555,703円で合計808,402円(税込)となりました。



